辻󠄀終活FP事務所

50代からのライフプランと終活のご相談を専門にサポートする山形県新庄市の事務所です。


【第16回】介護を経験して見えたこと


先月、母の2年目の命日を迎えました。
自分の思いを整理をしたいと考え、今回は、「介護を経験して見えたこと」  
についてお話しします。
母の突然の発症
約6年前、母が突然、脳梗塞で倒れました。
その後、要介護5の認定を受け、在宅ではなく医療施設・介護施設での
生活となりました。
当時の私は、自宅から約1時間の職場へ通勤し、父と同居で、独身という状況     
でした。
父との関係もあり、日常的に相談できる家族はおらず、介護・仕事・家族関係を
一人で抱える状態にありました。
施設介護でも、家族の役割はなくならない
「施設に入っているのだから、家族の負担は軽いのではないか」
そう思われることがあります。
しかし、実際は違います。
身体的な介助は専門職が担ってくださいますが、家族の役割がなくなるわけでは
ありません。
・入退院や治療方針の判断
・延命治療の意思決定
・施設との連絡・調整
・費用管理
・面会による精神的支え
特に要介護5の場合、医療と介護が密接に関わります。
その都度の判断は決して軽いものではありません。
私自身の「我慢型」の生き方
母への対応や仕事との向き合い方をめぐり、父との関係は悪化しました。
今振り返ると、原因は単なる意見の違いではなく、私自身の生き方にもあった
と感じています。
私はこれまで、
・仕事においても
・家族関係においても
自分の意思を抑え、「我慢することで関係を保つ」生き方をしてきました。
「自分がやらなければならない」という思いも強く、本音を言わず
抱え込んでしまう構造があったのです。
その結果、精神的に追い込まれ、医師からメンタルヘルス疾患と
診断されました。
病気休暇を経て、退職という選択をしました。
介護離職は悪いことなのか?
一般に「介護離職防止」が協調されます。
私も、原則としてはその考え方に賛成です。
職を失うことは収入を失うことでもあり、特に独身者にとっては、
生活基盤そのものが揺らぎます。
私自身も、経済的な不安がなかったわけではありません。
しかし結果として、私は退職を後悔していません。
なぜなら、この出来事が自分の生き方を見直す契機になったからです。
これまで何を我慢してきたのか
これからどう生きたいのか
そう問い直す時間を持つことができました。
FPの視点:施設介護には長期の資金計画が必要
要介護5での施設利用は、数年単位で費用が発生します。
・施設利用料
・医療費
・日用品費
・交通費
・将来の葬儀費用
在宅でなくても、家計への影響は小さくありません。
特に独身者の場合は、
「自分の生活」と「親の介護費用」を同時に設計する必要があります。
本来は、
・親の年金や資産の把握
・公的制度の活用
・緊急予備資金の確保
・働き方の柔軟性の確保
といった備えが重要になります。
終活の視点:本当に準備すべきこと
終活というと、財産や遺言の準備を思い浮かべがちです。
しかし、私の経験から強く感じるのは、終活とは、人との関係性を整えること
ではないか、ということです。
・医療の希望を共有しておく
・介護方針を話し合っておく
・役割分担を決めておく
・本音を言える関係を築いておく
これらができていれば、介護、仕事、家族関係は、もう少し違った形に
なっていたかもしれません。
「一人で抱え込まない仕組み」をもつ
問題は、「相談できる人がいない状態」です。
・ケアマネージャー
・地域包括支援センター
・信頼できる友人
・専門職
家族以外の第三者を持つことが、精神的な安全網となります。
介護は人生を壊す出来事か?
介護は確かに大きな負担です。
仕事、家族関係、心身の健康を揺さぶります。
しかし同時に、それは自分の人生を見つめなおす機会にもなり得ます。
私は、退職を経て、「自分の意思を大切にする生き方」へと舵を切りました。
最後に
介護は突然やってきます。
そして、施設介護であっても、家族の負担は消えません。
特に独身の方にとっては、それは「一人で抱える出来事」になりがちです。
だからこそ、
・お金の準備(FPの視点)
・家族関係の準備(終活の視点)
・相談できる人の準備
・自分の意思を大切にする生き方
この4つを、元気なうちから考え、実践することが大切だと思います。
介護は人生を壊すものではなく、人生を再設計するきっかけにもなり得ます。
ここまでお読み頂き、ありがとうございました。
少しでも参考になれば幸いです。

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